10,000円/1時間の報酬は高いのか?

「相談料で10,000円/1時間も請求していいの?働いていたら日当が1万円じゃない。」という話を聞きました。「時間単価が1万円は高い」と思われるようですが、決して高くはありません。なぜなのでしょうか?

労務の専門家なのにブラックな働き方?

最近は働き方改革で話題になりにくくなっていますが、平成16年ころには厚労省で「年間総労働時間の目標1,800時間」と掲げています。
労務管理のプロである社労士も、この目標を推進するよう顧客に提言をしますし、提言するからには、当然に実践が求められます。
また、個人事業主である士業は、1日中お客様から報酬を頂戴する仕事だけではなく、営業活動や情報収集など仕入れ(インプット)の仕事もしなければなりません。

1日の仕事を分解してみる

仮に1日の仕事を、ザックリ分類し、それぞれ25%ずつとします。
(1)お客様のために活動し、報酬が請求できる時間(2時間)
(2)営業のための活動・管理業務や事務処理(2時間)
(3)情報収集[仕入れ]や調査の時間(2時間)
(4)移動時間[片道30分/往復1時間の顧客2件程度](2時間)
細かく分ければ他にも作業はあると思いますが、ザックリ分類するとこんな感じでしょう。

このなかで、お客様に報酬を請求できる時間は、(1)報酬が請求できる時間(2時間)しかありません。

そもそも年商と年収は違う

冒頭の請求単価が「10,000円/1時間」とした場合、
(1,800時間×25%)×10,000円=4,500,000円/年商にしかなりません。

これは「給与」の額ではなく「売上」ですので、450万円が懐に入ってくるわけではありません。
この450万の中から、家賃や事務用品費、会費など事業の経費を差し引いた残りが、士業の収入になります。

日本人サラリーマンの平均給与は「420万円」ですので、10,000円/1時間決して高い金額ではないのです。
ありえませんが、売上450万円がまるっと懐に入ったと仮定しても、仕事の保証もないし、ケガをして働けななくなったり、福利厚生の恩恵もないなか、リスクを取って独立したにも関わらず、日本人のサラリーマンの平均給与を少し超えた程度にしかならないのです。

自信がないので1時間1万円なんて請求できません

「私は自信がないので1万円も請求できません」と思われる方もいると思います。しかし「お客様が1万円以上を喜んで払っていただけること」がプロとしての合格ラインなのです。プロの世界には自信の有無は問題にはならず、お客様から見て役に立ったのか、立たなかったのか?しかありません。

また、単価を下げてしまうと、自分の収入が苦しくなるだけでなく、業界全体の相場と価値が下がってしまいます。安売りをするというのは自信の無さからくる自己防衛本能かもしれません。しかし、その発想が巡りにめぐって業界全体の価値を下げる結果になってしまうのです。

自信がないのであれば、「何があれば1万円払っていただけるのか?」を必死で考えて、技を磨くしかないし、それが専門家として有無を言わず問われる姿勢なのです。

(まとめ)社労士の地位向上とは?

「社労士の地位向上」と言われますが、スローガンを叫ぶだけでは何も変わりません。
「企業で人事担当をするより、社労士の仕事をした方が面白いし儲かる」と、人事を志す人に思っていただかないと、この職業が「あこがれの職業」にはなりえません。社労士が人事のプロフェッショナルとして、仕事面も収入面も魅力ある職業であるためにも、正当な対価を頂戴していくことを意識していかなければならないと思います。