顧問先とのやり取りに最適なコミュニケーションツールとは?

メールはもう古い?

 皆さんは顧問先や取引先とのやり取りに、どんなコミュニケーションツールをお使いですか?一昔前までは、メールがコミュニケーションの主流でした。今もメインで使っている方も多いと思います。メールアドレスはビジネスマンであれば誰でも持っているので、連絡手段としては繋がりやすいのですが、トピックごとの紐づけが難しい傾向があります。

 また、宛先名とかしこまった文章を書くのがビジネスルールとなっており、私自身使い勝手に問題を抱えていました。担当者が退職してしまうと、過去のメールのやり取りが分からなくて、引き継ぎが上手くいかない場合もあります。

これらを解消するツールとして、最近はチャットツールが流行しています。チャットツールとは、簡単に言うとLINEのビジネス版です。チャット形式で顧問先とやり取りをすることで、スピード感を持って顧問先とやり取りすることが可能です。また、メンションという「これだけはお知らせしたい」という通知を飛ばすこともできます。

チャットツールの体験談

私は、2021年11月に開業してから、数多くのコミュニケーションツールを使ってきました。

それぞれにメリット・デメリットがあり、「結局どのツールが一番良いの?」という質問には、「状況による」という答えが正解になりますが、私自身の体験談をご紹介することで、少しでも皆様のお役に立てればと思い、筆を取らせていただきました。

<slackについて>

 結論から述べると、筆者にとっては「slack」というコミュニケーションツールが、顧問先とのやり取りにもっとも優れていると感じています。

「slack」は、2017年に日本版がローンチされたビジネスコミュニケーションツールで、セールスフォースのグループです。

slackが優れているのは、以下の点です。

・スレッドを作れて、そこにトピックを集約できるので、あちこちに話題が散らばりにくい。

・テレワークの多いこの時代に、社内のコミュニケーションツールとしても優れている

・専用アプリがある。

・スタートアップで使っている会社が多いので、slackで繋がれるだけで顧問先が獲得できる場合がある。

・有料会員の場合は、「ゲスト」という外部メンバーを取り込める機能がある。

・ワークフローを作って業務効率化につなげることが可能。

・自作スタンプを使えるので、コミュニケーションのハードルが低くなる。

・スタートアップ企業はslackを利用している率がとても高く、使えるというだけで喜んで頂ける。

・勤怠ソフト、todoソフト、zoomなど他のソフトとの連携機能が優れている。

 デメリットは、1名のユーザー利用料金が高いです。1人約1000円/月。スタッフが多くなってくると結構な負担増です。ただ、slackが使えるというだけで顧問としてご検討いただけるのであれば、安いものだと筆者は考えています。

 無料会員でも十分に使えますが、「90日以上過去の履歴」、「10,000以上前のメッセージは見れない」、「外部コネクト機能が使えない」、「専用アプリが使えない」などのデメリットもあります。

無料で使い続けたい場合は、過去ログをスプレッドシートに別のツールやクラウドストレージに保管するか、有料で使ってる顧問先に「ゲスト」として招いてもらえば問題ありません。

文字情報だけでは、どういったツールか分かりにくいと思うので、slackを使っているコミュニティに無料で入らせてもらって、最初は使い方を学ぶのが良いです。

筆者は、中小企業診断士と社労士を結びつけるコミュニティをslackで作ったので、もしslackに興味があって、練習がてら使ってみたいという方がいたら、気軽に筆者までお問い合わせください。(プロフィール欄参照)

<Chatworkについて>

 最近、士業界隈で最も使われているチャットツールは、Chatworkです。Chatworkは日本の会社が作ったチャットツールなので、日本人に馴染みやすく作られています。

Chatworkの優れている点は以下です。

1.ユーザー料金が安い。1人600円/月

2.タスク機能への繋ぎが簡単なので、メンバーに仕事を振りやすい。また、複数担当者へタスクを紐づけることが可能

3.専用アプリがある。

4.PC用の専用ブラウザが有り、専用ブラウザにメールやメッセンジャー、SNSのアカウントを紐づけておくと簡単にブラウジングが可能になります。

 少し物足りないと感じる点は、やり取りが流れていってしまうため、複数のトピックのやり取りがし辛く、過去の履歴が辿りにくいことです。グループチャットを話題ごとに分けることで対策は可能ですが、グループチャットを作るのが手間に感じます。また、スタンプが決まったものしか使えないのは、コミュニケーションツールとしてとても残念です。

 Chatworkについては、「ひよこの学習塾」というサイトで、新人社労士向けの相談窓口として使っているので、試してみたい方はこちらに登録されることをオススメします。

<HRbaseについて>

 過去の労務相談のデータを流用しやすいのがHRbaseです。HRbaseとは、社労士が開発した日本初の労務相談ITツールで、過去に行った労務相談内容をデータベース化し、次に別の会社から同じ質問が来たときに、相談内容を流用できます。また、「情報共有」という機能があり、プロのライターが社労士チームと一緒に作った顧問先向けの労務関連記事を、簡単に配信できる機能があります。記事の最後に「相談する」というリンクがあり、記事に興味がある顧問先はすぐにHRbaseのチャットツールに移行し、社労士に相談することが可能です。

 筆者は「既存の社労士が法改正について、情報を届けてくれない」という話を何度か顧問先に聞いたことが有り、それにより顧問契約の変更を頂いたことがあります。こういったITツールを使って顧問先に事前に情報を届けることで、そういったことも起こりにくくなるはずです。

<LINEについて>

 顧問先とのやり取りで絶対にオススメしたくないのが、今や誰でも使っているLINEです。恐らく顧問先のご担当者もアカウントを持っていることでしょう。しかし、LINEはどうしてもプライベートで利用するツールとしてのイメージが強すぎて、ビジネスとしては使いづらいです。特に、送信したファイルに有効期限がある点や、プライベートの友人と同じ箇所に、取引先があることにどうしても違和感があります。LINEとしては、LINE WORKSという別のサービスを展開しているので、そちらであればフリープランで利用できそうなので、今度どこかのタイミングで試してみようと思っています。

<Google Chatについて>

 先に結論からお伝えしますと、Google chatは、Google Workspaceのビジネススタンダードをご契約されている方以外の利用はオススメしません。その理由は、自社ドメインをGoogle Workspaceで管理していると、外部の人と繋がる事ができないからです。フリーアカウントであれば、外部の人と繋がることもできるのですが、スレッドごとの管理ができません。またインターフェースもslackやchatworkと比べるとイマイチだと感じました。

<teamsについて>

 ご存知Microsoftが提供しているコミュニケーションツールです。こちらは特に難点が見つからなかったのですが、slackやchatworkより使いづらい、インターフェースが好みではない、という感想です。顧問先も利用しているケースがとても少ない(その後slackに移行することが多い)ので、slackやchatworkに移行していき、使うこともなくなりました。

まとめ

 顧問先とのやり取りは、メールではなくチャットツールを使うほうが効率的に仕事ができる点は間違いありません。また、顧問先がチャットツールに慣れていて、同じツールを利用するように要求された場合、「メールしか使えない」「決まったツールしか使えない」というのは、マイナスポイントになる可能性があります。普段から積極的に多くのツールに触れることで、そのようなニーズにも応えられると思うので、ぜひ気後れせずに使われることをオススメします。まだまだ未熟ではありますが、筆者もそういったご相談も承っていますので、ITツールの使い方などに迷われる事がありましたら、気兼ねなくご相談ください。プロフィール欄からのご相談をお待ちしております。

投稿者プロフィール

田名網 啓陽
田名網 啓陽代表
NEXPERT社会保険労務士事務所 代表 社会保険労務士
医療業界で7年間の営業経験を経た後、社労士資格を取得して社労士事務所へ転職。100社以上の助成金コンサルを行う。その後、全国規模の保険代理店で労務課長として、勤怠管理、社内トラブル、労基署対応、労働組合対応などを経験。ITツールを助成金を使って企業に導入し、企業の生産性を向上させていきたく、2021年11月にNEXPERTグループで開業に至る。